「虞美人草」、やっと、読了した。
長かった。
冒頭は何が何だか分からず、面白くないと思っていた。
しかし、読み終えた時、さすが、夏目漱石と思った。
いつもへらへらして、糸公と妹をからかっている宗近一さん。
家族が仲良く暮らしているのが良く表現されている。
妹とも仲がいい。親父さんとも友達みたいに話すことが出来ている。
親父さんも博学でユーモアがあり、人づきあいもいいときている。
夏目漱石自身は幼くして、他家にやられ、親の愛情も余り感じることなく成長したそうだ。
自分が理想とした親子関係を宗近一家に求めたのかもしれない。
その宗近一家の最終項での活躍は本当に見事だ。
親父さんは井上先生宅へ行き、先生と小夜子を説得する役目を仰せつかった。
糸子は思いを寄せていた、甲野氏を守るため、甲野宅へ。
宗近一は小野を説得した。
宗近の発した言葉があまりに、私の心を捕らえたので、記録を残しておこうと思う。
「小野さん、真面目だよ。人間一年に一度ぐらい真面目にならなくっちゃならない場合がある。上皮ばかりで生きていちゃ、相手にする張合いがない。また相手にされてもつまるまい。僕は君を相手にするつもりで来たんだよ。好いかね。わかったかい」
小野は本当に小心者で人の気持ちをあまり考えない自分勝手な男だ。
宗近さんの、真面目に話す、心に押され、本当に自分が望んでいたことに気付かされた。
登場人物のほとんどが集まり、真実を知らされた、「藤尾」はあまりのショックに耐えられず、亡くなった。
私にとって最高の小説の一つとなった、「虞美人草」。
読後感も最高だ。
虞美人草を読んでいる途中に「殉愛」を読んだ。
その「殉愛」の読後感はもう一つ納得がいかなく、悪かった。
なんか、ほんまかいなと言う、思いが強く残った本だった。
まずい物を食べ、口中に残った違和感を無くすために、別な物を食べ、すっきりする。
その別な食べ物が夏目漱石の「虞美人草」だった。
次は何を読もうかと考えた。
長いのを読んだ後なので、短いのを選んだ。
次は同じ夏目漱石の「倫敦塔」に。
これは、漱石が約2年間ロンドンに国命で留学した頃の話らしい。
明日からの隙間時間が楽しみだ。
コメント